読書偏食家

本をジャケ買いするみたいにして選びたい

『水やりはいつも深夜だけど』 窪美澄

水やりはいつも深夜だけど

水やりはいつも深夜だけど


順風満帆ではない人たち、でも諦めずに頑張っている人たちの話。
言葉にしにくいもどかしい日常に、ふっと空気を吹き込んで緩めてくれるような、読後感がありました。

爽快なストーリーではないけど、背中をぐいっと押されるわけではないけど、
控えめに差し延べられた手 とか、薄く開かれた扉(先は明るい光) とか、そんな存在を思わせる本でした。

なんて抽象的な感想。
でもそれぐらい、仄かだけどしっかりとした救いをくれる小説でした。
家族ってやっぱり家族、きちんと思い向き合うことで繋がれる。だから家族なんだなーと。

しかし
本当につまらないことに愚痴を言うようだけど、帯に連作小説って書いてあったのに、
同じ幼稚園に子どもを通わせる家々…とあったのに、
そんな風味ちっともなかったよ。
連作の絡み方のワクワク感が大好きな私には少し残念。