『ラブレター』 岩井俊二
中学時代に読んだもの、ふと読みたくて読んでみました。
あの時は、いい!こんな本が読みたかった!といたく感動した記憶があるのですが…
今読んでみると、はて…なぜ感動したのか…これは苦行でしかないじゃないか…と。複雑な気持ちになりました。
部活と読書しかしなかった中学生の私に、愛する人を想う気持ちは分からなかったんだなあと苦笑するばかりです。卒アルで見つけた住所に手紙を送ってみるというワクワクに酔いしれただけだったんだろうな〜。
主人公は亡くなった婚約者の過去を不思議な糸で手繰りよせていきます。
亡くなってしまった愛する人と、思いもよらず接点が増えることへの喜び、
でも、徐々に感じ始める虚無感(…悲しみなのか?)。
苦しくても、愛する人の全ては知りたいもの、
もう会えない人ならばなおさら…
でも、そこにある現実は決して自分を喜ばせるものだけはなくて。
あーーー
愛する人の過去は愛しくて、それと同じくらい憎いものなんだなーーー
と心がヒリヒリしました。
そんな、軽く言えば恋愛あるある、重く言えば真理、を、有形なものにした本作は、
映画化されるのもずっとファンがいるのも納得だな〜と思います。
焦点はきっと、その恋愛あるあるじゃなくて、
過去の恋愛から一歩前に進もうとする主人公にあるんだと思いますけど。あまりその点は響かなかった。