『秘密の花園』 三浦しをん
ほー、こんなのも書くのかぁ、というのが第一印象。
三浦しをんさんの一般的なイメージとはちょっと違う雰囲気の作品。
ヨコフタではないけれど、まったく同じようなミッションスクールで中高を過ごした私にはとても馴染みやすい作品でした。
思春期の少女の刹那思考を題材にした小説ってたくさんあって、読むたびにそんなもんだったかなあ…と腑に落ちないことがあります。それは作者の、少女への幻想でしょー、って冷ややかな気分にさせられることも。
でも本作は、割とリアルだったかなと思います。あぁ、そんなだったかな、と納得するところもしばしば。思い返すだけでも恥ずかしいような感情、だから、年月を経てもっともっと形ない曖昧なものになってしまった感情を、
三浦しをんさんはよく言葉にしていったなぁと。
ま、ノアの箱舟とかパンドラの箱の話が出てくるあたり、少し高潔すぎるのでは…という感が否めないですが。
性に悩み、恋に憧れ、友人を羨み、友人を愛し、自分を卑下し、
エスカレートしていって、
性を憎み、盲目な恋に走り、友人に嫉妬し、友人を疑い、自分を罵り、
全部が矛盾しながらも存在していて、はち切れんばかりに膨らみ続けて、
アンバランスで、
さらに勉強やら親やらのことがそのぷっくり膨れた風船の上に落ちてきて。
本作の3人とどんぴしゃで同じ気持ちってわけではないですが、3人の気持ちに似たものそれぞれを、女性たちは少女時代に経験してるのではないかな〜と感じました。
三浦しをんさんのボリューム感を求めて読むと、これじゃない感を感じる人はいるかもしれません。
少女性を表現する本としては、良かった!