読書偏食家

本をジャケ買いするみたいにして選びたい

『生きるぼくら』 原田マハ

生きるぼくら (徳間文庫)

生きるぼくら (徳間文庫)



11月末から忙しくしていたので、
ものすごーーーーく久しぶりに本読めました。
本を読む時間、作らないとな
やはり読書は幸せだ!☆


友人から、「古本屋に売るには惜しいからあげる」というなんともセンスある一言とともに譲り受けた本。
タイトルが重たくて、なんとなく読んでいなかった、原田マハさんの本。

いつも通り、じわりと温かい気持ちになっては何度も涙を拭き、
読み終わった後にほぅ…と元気になっていく心を実感しました。

が、こんなに人間うまくはいかないのよ。という冷めた一言を投げつけたくもなりました。

以下はネタバレになるので要注意↓


このストーリーの主たるスポットは、人と自然との関わりの中で自分を見つけ出して生きる力を得ていく主人公にあります。
だから、この主人公を描くタッチはすごくいい。勢いも、リアリティも、すごく生き生きとしていて。

でも、周り、というか、おばあちゃんです。おばあちゃんの描写は、上手く行き過ぎていて良くないように感じます。
認知症、そんなに甘くない。
認知症の症状は本当に人によるから、こんな奇跡的な方もいらっしゃるんでしょうけれど、
祖父母が認知症だった私の経験から言うと、生温すぎます。
進行の速度を緩めることはできても、進行したものを戻すことはできない病気だと言われているし、
実際にそうだと思います。

なのに、なによ!
孫が分からなかったのに、話もできなかったのに、目も虚ろだったのに、
最後には孫を把握して普通にお喋りして冗談まで言ってんじゃん!


…とまあ、
先に言ったようにあくまでメインテーマではないので…
おばあちゃんの認知症は、設定上のピンチを作り出す材料でしかないので、目くじら立てても仕方ないとは思います。


なので、総じて、
力がみなぎってくる、いい小説だと思います。
それに、とってもお米を食べるのが愛おしくなります。美味しくなります。