読書偏食家

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『神様のケーキを頬ばるまで』 彩瀬まる

神様のケーキを頬ばるまで

神様のケーキを頬ばるまで


良い!
じわーっと染み入るような読後感、強い力をそっと吹き込んでくれるかんじ。
おすすめ!!と大声で言うには、少し控え目な文とストーリーなんだけど、そこも含めて好きだなー(*´ω`*)

連作短編で、ひとつのテナントビルに関わる人々の人生の一コマが描かれてます。
連作小説、大好き(`・ω・´)場面設定がブレないので入り込みやすいし、
同じもの同じ場所で、生きる人によってこんなにも違うのか…という人生の真理に近い何かに触れられる気がするから。

どのお話も、誰もが生きてれば行き当たる壁みたいなものに立ち向かうお話。といったらとてもストイックな小説に聞こえますが。
三者三様の飛びこえ方を見つけたところで話は終わります。

その終わり方が、前が明るくなる爽やかさを見た一方で、
さて、あなたは、どーするの?
というボールを投げかけられたように身に迫る。

あー気持ちよかった!すっきり!では終わらせない強さと厳しさがあって、
それが、最初に言ったじわーっと染み入る読後感と、吹き込まれる力の源なんだと思う。

がんばろう、じゃなくて、私なら何ができる?って自然体で前を向かせてくれる作品です。
なんだろー、テコっぽい。控え目に力を入れてきて、大きな作用になる。

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