『春や春』 森谷明子
- 作者: 森谷明子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/05/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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俳句甲子園を目指す女子高生6人の物語。
各章がひとりひとりの視点から描かれていて、指導する先生やライバルたちの章も。
主軸は少女たちの成長なんだけど、
そこも爽やかでじーんとくるんだけれど、
それ以上に私は俳句の奥深さ、言葉の面白さにわくわくしました(*´ω`*)
強いて言えば、キャラ作りが気になったかな〜。まず各方面での達人がバランスよくいるといるところ、。戦隊モノみたい笑 でもこれは俳句に必要な要素をキャラに表したのかなと思うとなかなか勉強になるからよしとして。
それよりも気になったのは、達人、得意、キレ者、と設定するだけで出る万能感に頼っているというところ。
特技は個人のパーソナリティーになり得るけれど、その前段階にある「性格」をもっとうまく書いて欲しかったなぁ。そしたら試合の場面がもっと活き活きしたと思うし、彼女らの成長をもっともっと感じられたと思う。創作の苦労が描かれる一方で、個々の性格に向き合った苦労が少ないのもリアリティに欠けて、戦隊モノの色を濃くしている一因。
実際にこの舞台のような進学校の女子校に私も通っていたけれど、
いくらみんな頭が良くて物分りが良くて陰湿とは無縁な環境でも、特技があって役割分担ができていても、
女同士やはり衝突するところがかなりある。
性格の不一致を乗り越えたところに女子校ならではのチームプレーがある。のに、本作は、衝突したことがあった と振り返ってさらりと書いているだけで、んー勿体無い。
ただ、あくまで、本作はこうした仲間と協力するという面での成長と、
自己表現での成長と、同時に描く必要があるので、これが限界なのかな〜という気もします。
何でもかんでも入れたら収拾つかなくなっちゃうしね〜。
といろいろ書きましたが、
最初に書いたように、言葉への興味を掻き立てられる点でとっても満足な一冊です♪
続編…出ないかなあ。留学生部員、スランプ、プレッシャー…あと、恋の要素もあっていいかも。そしたらとっても楽しいのにー!!( ^ω^ )